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AI時代を勝ち残るために、読書家が手に入れるべき5つのスキル

老いも若きも猫も杓子も右も左もAIのネタで盛り上がっている今日この頃。
未来のために積み上がる時間をお過ごしでしょうか?

私の興味はもっぱら「chat GPTを使いこなす知性は、どのように育めばいいのか」に向いています。
トレンドを追いかけたところで、その道の専門家にはかないません。そして、そこそこの知識というのは家族や仲間の「ねぇ、この話、知ってる?」というお茶の間レベルの会話でしか通用しないことも明らかですから。(だからトレンドを追いすぎるのは時間の無駄ってことね。)

寺田

だったら「私は私の道を行く」と割り切って、自分の専門領域に専念した方が未来を豊かにしてくれますよね。

「そこそこの知識」とか「それなりの専門知識」って、まさにChatGPTに置き換えられそうな感じですしね

そういうわけで、AI時代にどういうスキルを身につけるべきかというお話を、読書教育研究の末席にいる私、寺田がお届けします。

目次

そもそも、AIは僕らの仕事を「奪う」のか?

今さらいうまでもなく、chatGPTがとんでもない知性を手に入れ、さらなる学習と進化が進んでいます…。
この進化がますます進み、さらにインターフェースが改良され、各種アプリに組み込まれるようになってくると、当然、仕事の仕方が変わってきます。

寺田

例えば、手書きがワープロになり、誰でもプロ並みの出力ができるようになった時、仕事がどう変わり、誰が楽になり、誰が仕事を失うことになりましたか?
さらに、単体のパソコンがネットにつながりクラウド上で清書・編集できるようになり、そこに文章の構成案や表現まで提案してくれる機能が付きました。
これから仕事がどう変わり、誰が楽になり、誰が仕事を失うことになりそうでしょうか?

20年後に誰の仕事がなくなるのか? ── そんな問いが、もう10年以上前からしきりに語られてきましたが、ここに来てかなりリアルなイメージになって来た印象です。

こちらの日経ビジネスの記事は、AIの持つ脅威仕事という側面と倫理という側面から簡単に紹介しているのですが、こちらの一節はなかなか衝撃的な話です。

すでに、これらのAIによってコードの50%を自動生成しているソフトウエア技術者がたくさんいます。自動生成しているのは単純なコードだけですが、それでも50%となると影響は大きい。

日経ビジネス・連載記事「chat GPTの衝撃」より

今まで「その道(ニッチ)のプロ」を名乗っていた技術屋さんに頼んでいたものが、AIにお願いすればそこそこのクオリティの中間プロダクトとして出来上がってくる。それをプロデューサーが自分で納得のいくレベルに仕上げるだけ。

仕事ができる人、いわゆるクリエイティブ職の人、プロデューサー職にある人が、直接自分でプロダクトまで作れるようになったわけですよ。

逆に言えば、「そこそこ知っている(技術がある)」「一般の人よりは専門的な知識や技能を持っている」という「そこそこ」のレベルの知性はchat GPTでまかなえてしまうわけです。

その現実を…

AIによって仕事が奪われる

と表現するとネガティブですが、

AIのお陰で、一人でできる仕事のレベルと生産性が爆上がりする

と考えると、これほど愉快な世界はありませんよね!

一人一人が「AIに奪われる程度の知性」で満足せずに、「AIを使いこなしてプロデューサーになるレベルの知性」を目指せばいいわけですから。

私たちは自分の個性、つまり遺伝子と人生の環境、興味・関心、体験という絶対に誰にも真似を出来ない宝物を持っています。それを他の誰かのために役立てるべく引きだし、高い価値を持つ何らかのサービスに変えていくことが、驚くほど簡単にできるようになったと考えたいものです。

AI時代をサバイバルするための5つのスキル

問題は、自分の中に埋もれているはずの宝を掘り起こし、輝かせるためにはどのようなスキルが必要なのかってこと。

大前提として、

AIを活用できるのは、自分の知性の及ぶ範囲内のこと

ということを理解しておく必要がありそうです。

どんなにAIが便利になったところで、最終的な成果物(作品)については、次のような観点から、人間がチェックをせざるを得ません。

  • AIには(今のところ)、あなたらしさ、人間っぽさが表現できません。
    人間ならではの感性だったり、それを受け取る人への共感だったり、やはり人の手で仕上げないと自分の作品にはなり得ないと考えるべきです。
  • ChatGPTの出力が最新の情報として信頼に値するか分かりません。
    ChatGPTは平気でウソをつきますし、深層学習でゴミ情報を学んでいればゴミ情報を出力してしまいます。それを検証できるだけの知見が必要です。
  • AIは「リアルな体験」「生々しい言葉」を持ち合わせません
    文章であれば、読んだ相手に信頼感を与え、共感を生むのは、目撃者にしか語り得ない実感のこもった、リアルな描写なのです。

言ってみれば、今まで他者に外注していた作業がAIに置き換えられて、時間と費用が格段に圧縮できるようになったというだけの話です。
自分が「プロデューサー」として、外注先の相手より高いレベルで作品を俯瞰したり、作品と受け手(お客様)とを視野に入れて検討したりといったことができなければならないわけです。

そういう観点から、AI時代だからこそ必要となる能力、AI時代にライバルに打ち克ち、サバイバルするための能力として、次の5つは必須となるでしょう。

1.デジタルリテラシー

すでにchatGPTを初めとするAIを使いこなして実験に取り組んでいる人と、その人が流す情報を消費するだけの人に分かれてしまっています。
chatGPTだけでなく、クラウド、インターネット(検索)を含めた最先端のデジタルツールを使いこなせるよう、知識と技術をアップデートしておく必要があります。

2.コミュニケーション力

逆説的ではありますが、AIと協働する世界では、自分の知識の延長(外部データベース)として「仲間」が必要になってきます。次第に、「会社に属して時間を切り売りする」働き方よりも、「大きな目的を中心に結びつき合った個人がスキルを提供し合う」ような働き方が、今後の中心になってくるはずです。

ですから、ここでいうコミュニケーション力は、チームワークという形を取るかも知れませんし、リーダーシップとして求められるかも知れません。いずれにせよ、自分のこと、成果物のこと、仲間(相手)のこと、お客さんのこと、グループを取り巻く社会のこと、未来のことなどを俯瞰的に視野に収め、相手を尊重し、その感情に寄り添う…そんな能力が求められます。

3.発想力

手軽に多様な特性を持つAIを駆使することで、複数のタスクを自動化し、時間を短縮できるのであれば、あとはそれをどう駆使し、組み合わせていくかというプロデューサー的能力だけが求められることになります。
そこで人間に求められる重要な能力は、創造性革新性あるいはお客様の心理や社会のトレンドを見抜く目ということになるでしょう。

固定概念にとらわれない柔軟な発想力。アートや音楽といった、いわゆる教養を身につける必要があるかも知れません。

いずれにせよ、創造性というのは膨大な知識・情報、それも自分の専門とするジャンル今、向き合っている仕事の対象に関する知識と、さらにそれを取り巻く社会・経済に関する一般的知識の2種類が求められます。それが膨大に積み上がり、その情報が互いに有機的に結びつき合ったときに「新しいアイディア」として浮かび上がってくるものなのです。

4.思考力

1から2や3に拡張していくことは、AIの手を借りることで驚くほど簡単になるはずです。
しかし、世の中の困りごとがどこにあるのか、ニーズやウォンツがどこにどう生まれて来ているのかを察知する能力は、あなたの経験と知識の融合したところにしか芽生えません。

さらに、見出された課題に対する問題解決能力や、出力された主張や解決策に対して批判的に思考する力は、今後ますます重要になります。
そのためにも、ディベートやディスカッション、あるいは論理思考トレーニングを常日頃から(たしなみとして)行っておく必要がありそうです。

5.読解力

AIが情報を提供することが容易になり、私たちは様々な情報源から正確な情報を見極める力や、一次情報としての専門書や学術論文をはじめとして、様々なテキストを読み解く力を鍛えることが重要です。
これは、情報の信頼性やバイアスを理解し、複数の情報を対照しながら批判的に分析する力(高次リテラシー)を含んだものと考える必要があります。

今までのように、平易で楽しく読めるものばかりを読んでいては、ビジネスという点では役に立たないと考えるべきでしょう。専門性の高い書籍を多読できるだけの速読スキル読書ストラテジーももはや必須スキルといっていいでしょう。

AIを駆使するスキルを読書で手に入れよう!

ここまでに挙げた5つのスキルは、読書を通じてそのベースを作り、実際の行動を通して強化されていくものと考えられます。

以前、こんな記事を書いたわけですが…

AI時代というのは、「楽をするためにAIに頼る」ことはあって当然です。しかし、それで自分のアタマを使わなくなるのは本末転倒。
自分のプロデューサーとしてのスキル・知識をとことん高めていけるような投資活動はしっかりと続けていきたいものですね。

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この記事を書いた人

1970年、福岡生まれ。名古屋大学法学部卒業。元福岡県立高校教諭(公民科+小論文)。
現在は九州大学・大学院(博士課程)に在籍し学習ストラテジー、読書ストラテジーを研究。
2001年に教職を辞し独立。教師時代から研究を続けていた高速学習と速読のメソッドを完成させ、その指導にあたる。速読と学習法を学ぶ3-4日間集中講座は98%の高い修得率と高い学習効果が話題を呼び、多くのビジネス書ベストセラー作家や経営者、MBA学生が通う人気ぶり。
 
そのメソッドを公開した書籍『フォーカス・リーディング』は10万部のベストセラー書。その他に読書や学習にまつわる様々な業務に携わった経歴を持つ。
・ベネッセ中学2年生コースの特集記事の指導・監修(2008年)
・西南学院大学での読書力養成講座(通年講座、2014年度から)
・司法書士スクールの高速学習指導(2015年度)
・学習塾経営者への学習法指導、経営指導

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