卒論や修論が書けない…そんな悩みを抱えている方は多いのかも知れません。
実は私も、博士課程に進学できたものの、
そして博士論文のための研究講座はがんがん進めているものの、
まだ、博士論文のデザインが描けていません。
薄ぼんやりと、霧の向こうに北極星が輝いているレベル。
ま、とりあえずこっちに進んでおけば大丈夫か、くらいの状態。
きっと、卒論とか修論が書けない!と悩んでいる人も、そんな感じではないでしょうか。
なぜ出力が見えてこないかっていうと、
自分の狭い了見、少ない知見でもって考えようとするから。
はい。分かりきっております。
スタートラインとしては、「自分なりの問題意識」でもいいと思うんです。
でも、一刻も早くそこから抜け出さないと、
「何を明らかにして、世の中に何を訴えるのか」という問いが立ちません。
自分が漠然と感じていた疑問や、解き明かしたいと思っていたことを、
先人たちがどこまでクリアにしてくれていて、何が課題として残されているのか。
あるいは、もっと明確な問いにするためには、どういう前提を置けばいいのか・・・。
これって、材料、とりわけ先行研究の膨大な論文を読んでみないと見えるはずがないわけですよ。
書籍『フォーカス・リーディング』でも書いたことですが、
出力しようとして脳みそがフリーズしたとしたら、
それはインプット不足と考えて、無心にインプットに励むのが吉です。
本を読んでブログを書こうなんて思えない人でも、
本をたくさん読み、面白いと思うブログをたくさん読んでいるうちに、
何かしら言葉にできるようになっていくものです。
もちろん、入力がオーバーフローしてこぼれ出すレベルになっても、
出力しようとすると、やっぱりちぐはぐするものです。
そこで焦る必要はありません。
出力ってそういうものですから。(^^)
私の場合、修士論文でも同じプロセスを超えていきました。
その時読んだ論文の数は英語・日本語を含めて100を越えています。
⇒寺田論文リスト
無心に読んでストックしていく内に、
徐々に何をどう書くべきかが見えてきました。
これは教授ストラテジーの研究者である研究室の先生の
教授戦略に乗っていったら、
いつの間にか書けるようになっていたってのが正直なところですが。
実際のところ、久米ひろし先生すげー。
※ニュースキャスターの久米宏さんではありません。念のため。
久米先生のストラテジーをざっくり解説すると・・・
- とにかく手当たり次第論文を読む。
- いい論文と出会ったら、その縮約を作る。
- 自分の所属する学会、投稿したい論文誌があったら、その構成を分析しながら縮約を作る。
- どういうデータを集めて、どういう統計的処理をしたら、どういう結論が出るのかを分析する。
- 並行して統計学の本を読む。論文で出てくる統計処理は必ず学んでおく。
- じわじわとストックが増えて来たら、「とりあえず学会に提出してみるか」という気楽さで、投稿論文を一本書いてみる。
- 書いていると、論の足りない要素が見えてくるので、また論文を読む。
- フォーカスが明確なので、楽に探せるし、読める。
- 先生に論文を提出し、フィードバックを受ける(朱ペンがビシバシ入って返ってくる。)
- 書き直す。何度も書き直す。何度も朱入れを食らう。
私の場合、修士論文提出の半年前に、学会誌に投稿して、
すんごい勢いでダメだしされました。もう「これでもか!」というレベルで。
そしたら、その指摘に基づいて一つ一つ修正していくことになります。当然ね。
その過程で、足りない要素が見えるので、また論文を漁ります。読みます。
そうこうしている内に修士論文が完成します。
完成したら2週間ほど寝かせます。(先生の指示)
さらに先生に提出して、また朱入れをもらいます。
とにかく読むこと。
とにかく書くこと。
書けないと思ったら、先生でも先輩でもいいので
「こういうふうに悩んでいるんですが、どうしたらいいでしょうか?」
「こういうふうに書くべきかなと考えたのですが、どうでしょうか?」
という感じで、自分なりの努力を踏まえて質問します。
やった体験、悩んだ体験があれば、
誰かのフィードバックはすごい勢いで吸収できるもの。
ま、そんなことを言いつつ、
私もまた、博士論文で同じように悩んでいます。
でも、もう体験済みのことなので、
悩みも焦りもありません。
今はとにかく論文を読むこと。それに尽きる。
英語の論文はスーパースローリーディングなので、
1日6ページをノルマにしています。
(理想は1日1本ですが、諦めました。)
ちなみに、私が読むのは英語の論文がメインですが、
次のような手順で処理を進めています。
- 1.キーワード検索でひっかかったものを片っ端からダウンロード&印刷
- 2.とりあえずアブストラクトを読む。
- 3.的が外れたと思ったら、そのままパス。これは?と思ったら背景と考察を60%理解で流し読み。
- 4.的が外れたと思ったら、そこでパス。いける!と思ったら精読へ。
- 5.精読といっても、70%理解で読み進める。語彙、背景知識がない論文は丁寧に読んでも無駄。
- 6.ロジック(主張)と研究の方法を丁寧に読み、アンダーライン+付箋でトレーサビリティー確保(ページ数の少ない論文は付箋なしが多い)。
- 7.「資料レベル」と思ったら、そのままバインダーに綴じ込む(30穴パンチ⇒バインダーノートへ)。
- 8.「参考文献レベル」と思ったら、縮約版の日本語訳またはポイント整理レベルのメモを作る。
- 9.「引用文献レベル」と思ったら、ほぼ完全版の日本語訳を作る。
日本語の論文も同じ感じで処理します。
といっても、段々慣れてきたので、線を引いてバインダーへ…という感じになりつつあります。
ちなみに、バインダーノートはカテゴリ別に分けて綴じています。
例えば私の場合であれば、「読書ストラテジー」「速読理論」「メタ認知」「瞑想」「教育行政」「読書教育」「高等教育」「ノート法」「学習科学」といった感じです。
・・・といったところで、今日はお開き。
そうそう。なんでこんなブログを書こうと思ったか。
今日、九州大学大学院の修士課程の皆さんの修論中間発表会だったんですよ。
そこで思ったのは「みんな、先行研究、全然読めてないじゃんか!」ってこと。
ま、自分でも博論で悩んでいたので、これから卒論・修論を書こうと思っている人に、何かしらヒントになればと思って。
ということで、たくさんインプットして、いい研究をしてくださいね。
学生の皆さん!(*・ω・)ノ
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