クリエイティブ系天才たちの脳の使い方はどこが違うのか?

もっと発想豊かに、クリエイティブになれたらいいんだけど…!

お悩みさん

クリエイティブな仕事ができる人と、頭が固い人との差はどこにあるの?

── そんなことを考えたことはありませんか?

ひょっとすると「速読をマスターして本をたくさん読みたい」という方の中には、アイディアを生むための材料集めを…とお考えの方も多いかも知れません。

目次

速読からの多読でアイディアは生まれるか?

速読をマスターして多読したからといって(速読でなくても同じですが…)、実はアイディアが生まれるとは限りません。速読・多読によって得られた材料は、あくまで材料に過ぎず、その材料をどう加工するのかが重要だからです。そして、それが“独創的なアイディア”となるためには、何かひらめきのようなものも必要になってくるものなのです。

では、その加工はどうするのか?
「ひらめき」を得るために何が必要になるのか?
今日の話はそんなことがテーマです。

クリエイティブなひらめきを得る方法があった?

実は最近の研究で、クリエイティブな頭脳を持つ天才たち(エジソン、ダリ、アインシュタイン、ベートーベンetc)というのは、共通してある脳の状態」をうまいこと活用していたらしいことが分かっています。

もちろん、エジソンらも、そのような科学的な話を知らなかったはずです。それでも、多くの天才(的な業績を残した人たち)が同じ手法を採用していたというのは興味深い話ですよね。
 
その「脳の状態」とは”Diffuse mode“と呼ばれる状態で、テクニックとして誰でもその状態を創り出せることも分かっているのです・・・!

知恵はがんばって絞っても出ない

私たちは「知恵を絞る」といいますが、何かを考え出そうとする際、どうしてもうんうん唸りながら一生懸命に考えがちです。

しかし、その状態の脳は”Focused mode“と呼ばれる状態であり、アイディアを検討し、思考を深めることはできても、柔軟な発想、クリエイティブな発想を生み出すことができないと言われています。そしてこのFocused modeと、理想とするDiffucse modeは共存できないため、何かしらの方法でFocused modeからDiffucse modeに切り替えてやる必要があるのです。
 
では、その方法とは?

ダリの‘Slumber with a key’

ダリとエジソンは同じやり方で、そのDiffuse modeを創り出していたといいます。
それが‘Slumber with a key’(鍵を持ったまどろみ)というもの。
 
ダリは、何かについて一生懸命に学んだり、情報を収集したり、思索を深めたりした後は、鍵を軽く握ったまま、椅子にだらりと座り、夢うつつの中で、自由に思考を遊ばせたそうです。ただし、本当に寝入ってしまうと思考が止まりますので、眠ったら鍵を落としてしまい、ガチャッという音でちゃんと目が覚めるようにしていたそうですよ。
 
この話はオンラインで学べる大学の講義の中で紹介されています。ちょっと長いのですが引用してみます。

He’d relax in a chair and let his mind go free, often still vaguely thinking about what he had previously been focusing on. He’d have a key in his hand, dangling it just above the floor, and as he would slip into his dreams falling asleep, the key would fall from his hands and the clatter would wake him up, just in time so he could gather up those diffuse mode connections and ideas in his mind, and off he’d go back into the focus mode bringing with him the new connections he’d made while in the diffuse mode.

【寺田訳】彼は椅子にリラックスして腰掛け、心を解き放った。もちろん、そこまでに集中して考えてきたことがらについて、ぼんやりと考えながらである。手には鍵を持っており、床に向けてだらりと手を下ろした状態で。そして寝入ってしまったら、手から鍵が滑り落ちて目が覚めるという案配である。そして、その時、心に浮かんだアイディアとDiffuse modeの状態で思い浮かべた思考をかき集め、再びFocused modeに戻って、新たに得た思考の連結を整理し直すのである。

Using the Focused and Diffuse Modes–Or, a Little Dali will do You

ちなみに、アインシュタインも相対性理論を、朝起きる前の夢うつつの状態でひらめいたという話を、中学校の理科の先生から聞かされたことがありますが…どうなのでしょう?(真偽未確認!)

共通して語られることは…

この両者に共通して語られることは、リラックスした状態、一生懸命に考えていない状況です。そして、ここでは引用していないのですが、実は非常に重要な前提が述べられています。

それは事前に徹底的に情報をインプットしておくことアイディアがひらめいたら、すかさず集中して思考を整理し直しておくことなのです。その意味で速読による多読もムダではないし、むしろ必須と言ってもいいのですが、第一歩に過ぎないわけです。

そして、そのアイディア集めから発想までのステップをトータルで「アイディアを生み出す技術」として整理したのが、広告業界の教科書とも言える名著『アイデアのつくり方』です。

J.W.ヤング著『アイデアのつくり方』

『アイデアのつくり方』で語られるアイディア作りの5ステップ

diffuse modeの状態をうまく活かした「アイデアを生み出す方法」を具体的に解説したのが『アイデアのつくり方』です。脳科学的なことはともかくとして、経験的に方法論として確立されていたわけです。

ヤングは“アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ”であるとした上で、アイデアを生み出す人達について“新しい組み合わせの可能性につねに夢中になっている”と語り、この「夢中になっている」という状態の瞑想性に注目しています。そして、アイデアを生み出すプロセスは、次のような5つの段階を経る必要があるとしています。

1.資料の収集

第一段階は「徹底した資料収集」であるとしています。
この徹底した資料収集がどれくらい必要なのかということについては、石鹸の広告を例として次のように語っています。

石鹸と皮膚や髪の毛との関係が研究された結果、この課題でかなりぶ厚い一冊の本ができ上がった。そして、この本から五年間広告に使えるだけのいろいろなコピー・アイデアが生まれてきたのである。

─ J.W.ヤング著『アイデアのつくり方』(p.37)

このステップを考えると、速読─ただしちゃんと意識で読み取れる読み方─による多読が非常に重要だということが分かります。

2.資料の咀嚼

次に、集めた資料を十分に吟味すべきということを、ヤングは「咀嚼」という言葉で表現しています。
具体的には、その新しい組み合わせをとことん考え込むことだとしており、次のように表現しています。

これらの資料を咀嚼する段階である。ちょうど諸君が消化しようとする食物をあず咀嚼するように。(中略)集めて来た個々の資料をそれぞれ手にとって心の触覚とでもいうべきもので一つ一つ触ってみることである。

同書(p.44)

ただ、おもしろいのは、こういう作業を通じても、ひらめきはやってこないとヤングは語ります。むしろ頭がごちゃごちゃになるかもしれないことを指摘し、アイデアが生まれるのは、この考え抜く作業を終えた後だとしているのです。

しかしやがて諸君は絶望的状態に立ち至る。なもかもが諸君の心の中でごっちゃになって、どこからもはっきりした明察はうまれてこない。ここまでやってきた時、つまりまずパズルを組み合わせる努力を実際にやりとげた時、諸君は第二段階を完了して第三段階に移る準備ができたことになる。

同書(P.46)

このステップを意識的にやろうとする場合、書籍で読んだ情報やアイディアを、既有の知識をうまく結びつけながら構造化していくことが非常に重要であると考えられます。
そこでは、コーネル・ノートと呼ばれる情報の整理法が有効でしょう。

3.問題の放棄

いよいよアイディアが生まれる“直前(前夜)のステップ”です。ここでようやく、ダリの語る「まどろみ」に似たフェーズが登場するのですが、ここでは“問題を無意識の心に移し諸君が眠っている間にそれが勝手にはたらくのにまかせておくということ”としています。

ここですべきことは、問題を無意識の心に移し諸君が眠っている間にそれが勝手にはたらくのにまかせておくということのようである。

(中略)

だから、アイデア作成のこの第三段階に達したら、問題を完全に放棄して何でもいいから自分の想像力や感情を刺激するものに諸君の心を移すこと。

同書(p.47-48)

諸君はシャーロック・ホームズがいつも一つの事件の最中に捜査を中止し、ワトソンを音楽会にひっぱりだしたやり方を記憶されているにちがいない。

同書(p.48-49)

実は、このように散々考え抜いた後でアイデアがひらめくのを待つということについて、具体的に語っているのが『思考の整理学』というベストセラー書です。著者の外山氏は、本を読み、積ん読し、ノートにまとめ・・・という準備を経て、いったんそのことを忘れるように勧めています。いわく“見つめる鍋は煮えない”というわけです。

外山滋比古著『思考の整理学』

このステップを考える時、1つ重要なことがあります。
それは脳を自由な活動の状態にしてやること。ゲームに興じたり、音声教材を聞いたり、本を読んだりせず、リラックスしつつ思考が拡散するような時間を持つことです。スマホの使い方、音声教材の使い方も考えなければなりませんね!

4.常にそれを考えている

一旦、思考を手放して、忘れる状態を作ったら、いよいよアイディアが生まれる段階に突入します。

ヤングは、この「4段階目」こそがアイディアの生まれる段階だと説明しています。

諸君がその到来を最も期待していない時──ひげを剃っている時とか風呂に入っている時、あるいはもっと多く、朝まだ目がすっかりさめきっていないうちに諸君を訪れてくる。

『アイデアのつくり方』(p.49)

アイデアの訪れてくるき方はこんな風である。諸君がアイデアを探し求める心の緊張をといて、休息とくつろぎのひとときを過ごしてからのことなのである。

同書(p.51)

ダリやエジソンらは、まどろみの中での思索(決して寝ているわけではない!)こそがアイディアを生むタイミングだと考えていたようですが、ヤングの語る第3段階と第4段階をセットにして実践していたともいえそうですね。

ちなみに、外山氏は「どういうところでいちばんいい考えが浮かぶか」ということについて、「三上三中」(p.178)を挙げています。三上とは「馬上枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)」であり、乗り物に乗っている時、寝ているとき、トイレで用を足しているとき、という3つ。三中とは「無我夢中散歩中入浴中」だとしています。

先にご紹介したダリの“まどろみの中でのひらめき”と同じ事を語っているのがこちら。

むしろ、目を覚まして床の中に入っているときに、いいアイディアが浮かんでくることを言っている。それに、夜、床に入ってから眠りにつくまでよりも、朝、目をさまして起き上がるまでの時間の方がより効果的らしい。

外山滋比古著『思考の整理学』 p.172

5.作成過程の完結へ

アイデアが浮かんだら、それを世の中に通用するものに仕上げていかなければなりません。

この段階において諸君は生まれたばかりのかわいいアイデアをこの現実の世界の中に連れ出さねばならない。

(中略)

そうすれば驚くことが起こってくる。良いアイデアというのはいってみれば自分で成長する性質を持っているということに諸君は気づく。

同書(p.52-54)

アイディアを言葉として外の世界に出してやることで、周囲からフィードバックも得られますし、自分では気がつかなかった視点からの、さらなる改良点が得られるかも知れません。
仲間とブレーンストーミングをするのもいいでしょうね!

── アイディアを生む5つのステップは以上です。

いかがでしょうか?

アイディア作りに速読+ノート作りは必須

今回のテーマである「Diffuse Mode」と、それを活かしてクリエイティブに発想する方法が理解できたでしょうか。

アイディアを生むためには、ただたくさんの情報を仕入れるだけではダメで、それらを元に思索にふけること、脳を適切な状態に導くために気分を変える必要があることが分かりますよね?

読書については「たくさん読むより、良書をじっくり読んだ方がいい」という人も多いのですが、アイディアを生むためには、大量の読書による大量の情報入力が必要ということが分かります。そして、そこで得た情報を咀嚼しなければならないことを考えると、ただ読み散らかすのではなく、ノートにまとめたり、つながりを見出したりすることも必要

フォーカス・リーディングでは、何かを学ぶ時には、そのテーマの書籍を数十冊ほど読み、そこから教科書とすべき本を選び出して熟読して、必要なロジックを抽出した上で、他の書籍との関係・つながりを整理していくことを勧めています。
だからこそ、速読は必須なのです。
 
そして、多読からの情報整理・・・というヤングの語る5段階を愚直にこなせれば、きっとあなたもクリエイティブな存在を目指せるはず。d(^^*
 
そして、クリエイティブな発想というのは、これからの時代、知識基盤社会をサバイバルする強力な武器になるはずです!

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この記事を書いた人

1970年、福岡生まれ。名古屋大学法学部卒業。元福岡県立高校教諭(公民科+小論文)。
現在は教室運営と並行して、九州大学・大学院(博士課程)に在籍し学習ストラテジー、読書ストラテジーを研究。
教職在職期間は8年と短期間ながら、ユニークな授業が評判となり、全国紙一面に授業が紹介されたこともある(1998年元旦・朝日新聞)。また、中学校勤務時代には20代にして進路指導主事に就任。それまで60%台だった公立高校合格率を90%台に引き上げた実績を持つ(2000年度)。

2001年に教職を辞し独立。教師時代から研究を続けていた高速学習と速読のメソッドを完成させ、その指導にあたる。速読3日間集中講座は98%の高い修得率を誇り、多くのビジネス書ベストセラー作家が通う人気ぶり。

そのメソッドを公開した書籍『フォーカス・リーディング』は10万部のベストセラー書。その他に読書や学習にまつわる様々な業務に携わった経歴を持つ。

・ベネッセ中学2年生コースの特集記事の指導・監修(2008年)
・西南学院大学での読書力養成講座(通年講座、2014年度から)
・司法書士スクールの高速学習指導(2015年度)
・学習塾経営者への学習法指導、経営指導

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