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なぜ同じ速読講座を受講しても、スピードが上がる人とそうでない人の差が出るのか?

フォーカス・リーディング講座で読書スピードのコントロール力が身につくと、丁寧に読むスピードが数倍程度に上がります。
 
ただし、読む本の難易度や読む目的によって、そのスピードも質・深さもまったく変わります。
むしろ、それを意図的に変えていくのがフォーカス・リーディングの中心的なスキルというべきところです。
 
実際のスピード(日常的な「理解のために読む」場合のスピード)の幅はこんな感じ。

  • 読み慣れたジャンル・読みやすいと感じる本を気楽に読む
    ⇒1ページ6秒前後(1冊200ページで20分ペース)
  • 文字が多めの本、内容がやや濃いめの本を通常の理解で読む
    ⇒1ページ9秒前後(1冊200ページで30分ペース)
  • 文字が多めの本、内容がやや濃いめの本をやや丁寧に読む
    ⇒1ページ12-15秒前後(1冊200ページ40-50分ペース)

ただ残念なことに、年に数名程度なのですが、「3日間では、まったく成果が上がらなかった!」という方もいらっしゃいます。

そうなることは2日目のお昼には、お互いに(受講者ご本人&私共々)予想できています。それでもなお、乗り越えられずに終わり、最終日の読書スピードがスタート時点(初日)とほぼ同じ…。
その「読書スピードが伸びない原因」は、全員まったく同じです。

では、その読書スピードが伸びない理由とは何なのか。
そして、逆に読書スピードが伸びる理由とは何なのか。

あなたがいつか、読書スピードのコントロール技術(「読書の柔軟性」スキルと私は呼んでいます)を身につけようと思ったときの参考に読んでみてください!

目次

読書スピードを引き上げられる理由

書籍『フォーカス・リーディング』にも書いているとおり、速読というのは「読み方を加速する」のではなく、「読み方をシフトする」ことで実現します。

  • 姿勢を整え(上虚下実)、呼吸を整え(丹田呼吸)、鎮まりを作った上で、呼吸や視野の感覚にフォーカスすることで脳のステート(状態)をシータ波状態に変える。
  • 読む意識の状態を、「読むぞー!」という積極的・能動的な状態から、受動的に「受け止める」状態に変える。(「速く読むぞ」、「ちゃんと読むぞ」という執着を手放し、ゆったりした気持ちで気楽に読む。)
  • ボトムアップ型の処理、すなわち一字一句をつないでいくような読み方から、トップダウン型、すなわち章のタイトルや見出しから理解の枠組みを作ってから読む。

 
最後のトップダウン型処理は、テクニカルな話ですが、その前提となる3つは、まさに禅の世界そのもの!
速読ってがんばって努力した結果、少しずつ伸びていくのではありません。今までの読み方、今までの意識、今までの手応えを手放せると、ある瞬間、スッと感覚が変わり「これが速読か!」という手応えが手に入るんですね。
 
その感覚のカケラを手に入れてから、それを完全に使いこなせる状態になるまで、とことん試行錯誤します。
3日間の講座では、1日目の夕方頃に「なんとなく感覚が分かった気がする」と感じてから、それが使いこなせるようになるまで、丸一日かかります。

読書スピードが上がらないケース

スピードが上がる理由は、鎮まりを作り、これまで通りの読み方を手放すことで実現できるわけですね。
逆に「上がらない理由」はその真逆。つまりこれまでどおりの読書を「手放せなかった」こと。
 
まったく新しい読書を再構築するプロセスには、ある種の不安がつきまといます。これは、未体験ゾーンの成果を手に入れに行く場合、必ず体験しなければならない恐怖であり不安です。

ですが、未来の可能性を奪うのは、たいていの場合、今立っている安心感のある場所を離れる恐怖心です。
 
「別に命を落とすわけでも、怪我をするわけでもないので、リラックスして手を放しましょう」とのアドバイスは、ほとんど機能しません。
そして、この手放せないケースには2種類があるのです…

元々ハイレベルな読書をしていた受講者さんのケース

実は、ここ5年の「まったく変わらず」の方には、ある傾向がありまして…。
それは「かなりの割合で東大卒」ということなんです。
 
ある方からは「全然、変わんねーじゃん」と最後に文句を言われたことがあります。 
その方は、もともと読むのが速くて、分速1700文字(1ページ15秒)スタート、1700文字で終了。
ただ、周囲の人達が劇的に変わっているのを見ていたので「事後の集中サポートは、騙されたと思ってまじめに受ける」と約束をして下さいました。
他の方とまったく違うトレーニングを提案し、メンタルブロック解除の作業をしてもらった結果、たっぷり1週間かかりましたが、5,400文字(新書で1ページ5~6秒)に伸びました。

【その時のレポート(2週目後半)】

■「歯の健康学」(岩波新書・赤)江藤一洋
 102p/10分(理解度70%)、振り返り106p/5分
■「感染症と文明」(岩波新書・赤)山本太郎
 110p/10分(理解度60%)、振り返り106p/5分
■「風評被害」(光文社新書)関谷直也
 100p/10分(理解度80%)、振り返り110p/5分
 
【本人のコメント】
先生が以前おっしゃっていた「新書にもシリーズによってレベルがある」ということは理解できました。キャッチーな新書ならジャンジャン読めるようになりそうな予感です。
 
【寺田補足】
その後、フォローアップ講座にいらっしゃったのですが、1日1冊ぐらいのペースで岩波新書を読み続けているということでした。講座の測定値では、岩波新書を1ページ6秒で読んでいらっしゃいました。

読書が苦手過ぎる受講者さんのケース

読書に苦手意識が強すぎる方も、同じように今の「必死に、がんばって読む」スタイルを手放せません。
読書量が多いとか少ないとか、そういう経験値の問題ではありません。ただ、新しい世界に飛び込む勇気、覚悟を持てるかどうかの問題です。

読書苦手さん

これ以上、気楽になったら理解できなくなるーッ!

読めなくなる、意味が分からなくなることを恐れて、必死で今の読書にしがみつく(執着する)こと。
これが読書をシフトする上で、一番の壁になるのです。

「今持っている読み方」をどうしたら手放すことができるか?

メンタルブロック以外の原因で挫折する方は、ほとんどいらっしゃいません。(ADHD症状や読字障害など、脳の活字処理の問題として修得できないという例は、もちろんありますが、極少数です。)

一人一人の状況をしっかり把握できるように、受講者の人数を絞り込んでいますし、それぞれの状況を見極めながらトレーニングの課題を変えてもいきますので。気楽に新しい読み方にチャレンジしていく気持ちさえあれば、必ず道は開けていきます。

第一歩は気楽に活字と戯れること!

新しいことにチャレンジしながら…

読書苦手さん

無理無理無理無理ーッ!

と、「できなくなる呪文」を唱える癖をなくすことから始めましょう。気持ちを楽に構えて、ゆったりとした気分で活字を眺め、活字と戯れていくところから始めなければなりません。ゆっくりと息を吐きながら!

息を深く長く吐いて鎮まりを深める

恐怖の感情、ストレスを消すことも重要です。そこで重要な役割を果たすのが呼吸
丹田呼吸で横隔膜が下がるイメージを描きながら、深く、長く息を吐いてみてください。横隔膜が下がると恐怖の感情が薄れるとされています。

実際、息を長く吐いているときが、一番読書スピードが上がり、理解度も高まるものです。

素振りのような反復練習も効果的!

それでも活字を気楽に眺めて意味を受け止めることができない人には「見開き2ページを何度も読む中で、鎮まりを深め、視野を緩めてスキャンするだけで意味が伝わってくる」という状態を体験していただきます。

2012年の受講者さんの例ですが、こんなトレーニングをしていただきました。

  • 重ね読み:3分間で25ページ(理解度75%程度)で読めるようになるまで、ひたすら繰り返す。
  • 1回ごとにスピードが上がり、前に読んだ範囲を超えていきます。前に読んだ範囲の読み返しの感覚を、しっかり活かしながら新しい範囲に突入しましょう。
  • もし6回を越えてクリアできなければ、そこからは1ページ8秒で機械的に読み、それで理解度75%を越えるまで重ね読みして下さい。
  • 読む本は楽に読めるビジネス書単行本

これに対して提出されたレポートがこちら。

○読んだ本:千円札は拾うな/安田佳生
○最初のスピード:3分で10ページ(60%理解)⇒22回目(2日合計)で25ページ達成(理解度75%)
感想
やはり、内容がうまく受け止められていないのを痛感しています。

この方の例のように、あまりに時間がかかりすぎる…という方も多いため、最近は「見開き2ページを何度も読んで、1ページ6秒で流せるようになったら次に進む」というトレーニングにしています。

そして、このレポートの方は2週間後、このようなレポートで締めくくりました。

○土日に読んだ本と成果(ページ数・時間・理解度):
1. ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる/山田昭男
 1ページ9秒・理解度85%
 1ページ6秒・理解度70%
 1ページ3秒、理解度10%
2. ガンガン行こうぜ!人生のイシューを解く「インパクト志向」/田中裕輔
 1ページ9秒・理解度70%
 1ページ6秒・理解度50%
 1ページ3秒、理解度10%
○この2週間の手応え、感想
寺田先生、これまで本当にありがとうございました。
スピードや理解度を得るための方法が自分の読書とは正反対の方向にあったので、この2週間で読書に対する考え方がガラリと変わりました。「読むぞ!」という意識を捨てることこそが速読の扉を開くカギだったとは、いかにも盲点でした

ちなみに、この方のレポートはこちらのページで閲覧可能です。(ご本人の許可を得て公開させていただいております。)

レッスン中から「読むぞという意識を捨ててください」と伝え続けているわけですが、恐怖のあまり従来の読書にしがみついてしまって、私のアドバイスが頭に入らなかったということでしょう…。

ともあれ、これまでとまったく違う読書を、まずは受け容れること。息を大きく吐きながら、気楽に、ゆったりと、鎮まりを深めつつ…。

もちろん、それが実現したからといって、全員が同じ高い成果を上げているという話ではありません。
読書の経験値が少ない方は少ない方なりの成果です。ですが、読み方とスピードは完全に変わりますし、何より「読書が楽に、楽しくなる」というとてつもなく大きな成果を手にすることが可能です!

ということで、フォーカス・リーディング修得の成否を決める大きな鍵である「読む意識のシフト」について説明してみました。
これから学ぼうという方の参考になれば幸いです!

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この記事を書いた人

1970年、福岡生まれ。名古屋大学法学部卒業。元福岡県立高校教諭(公民科+小論文)。
現在は九州大学・大学院(博士課程)に在籍し学習ストラテジー、読書ストラテジーを研究。
2001年に教職を辞し独立。教師時代から研究を続けていた高速学習と速読のメソッドを完成させ、その指導にあたる。速読と学習法を学ぶ3-4日間集中講座は98%の高い修得率と高い学習効果が話題を呼び、多くのビジネス書ベストセラー作家や経営者、MBA学生が通う人気ぶり。
 
そのメソッドを公開した書籍『フォーカス・リーディング』は10万部のベストセラー書。その他に読書や学習にまつわる様々な業務に携わった経歴を持つ。
・ベネッセ中学2年生コースの特集記事の指導・監修(2008年)
・西南学院大学での読書力養成講座(通年講座、2014年度から)
・司法書士スクールの高速学習指導(2015年度)
・学習塾経営者への学習法指導、経営指導

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